(2013年4月6日投稿)
(最終修正:2019年3月27日)
ヤーコンの新品種「アンデスの雪」を毎年栽培し、収穫した根塊(上部の塊)を保存し、それを切り分けて種芋を作っていました。しかし、2010年の猛暑に遭って以来、収穫した食用芋にゴツゴツしたものが多くなった感じがします。
これは、きっと猛暑で新品種が痛めつけられて先祖帰りしたのではなかろうか。
そう思って、今年、種苗会社から「アンデスの雪」の種芋を15個購入しました。
種苗会社なら、栽培適地でちゃんと管理して、いい芋が採れる種芋を提供してくれると思ったからです。けっこう値が張りますが止むを得ません。
これを今年1畝作付けし、採れた芋を比較してみて、明らかにいい芋が採れたのであれば、これでもって今後の種芋作りをしようと思っていたところです。
さて、今日、注文した種芋が届きました。
開けてみると、次のような札が付いています。
“登録品種につき、権利者に許可なく増殖・販売出来ません”
あれれ??
そこで、ネットで検索し、調べて見ますと、次のようです。
アンデスの雪 品種登録 2005.12.07 近畿中国四国農業研究センター
有効期限25年(2030.12.07まで)
育成者権 農研機構(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構)
(なお、上記研究センターは農研機構に所属する下部組織)
そして、“許諾を得ない種苗の生産・販売(譲渡)等を行なえば、種苗法に基づき罰せられます”との注意書きもありました。
なお、許諾については、種苗業者に対して複雑な手続きが書いてあり、利用料を支払うことになっています。
このことから、今売られている新品種「アンデスの雪」の種芋や苗の値段がなぜに高いのかが分かりました。これは、ごもっともなことでしょう。
しかし、ヤーコンを大々的に生産する農家ならまだしも、自家用に栽培するだけの人であっても、「増殖」行為は罪になるようです。初めて知りました。
うちでは、皆さんの要望が多いものですから、根塊を切り分けて種芋をたくさん作り、苗を育てて、これを無料で差し上げていたのですが…。
今まで法律違反をしていたようです。
種苗法に基づく品種登録により、新品種開発者は開発資金を回収できるのであり、これはしごく当然のことです。
でも、国の機関である農研機構は国策としてヤーコン栽培の普及にも積極的で、どちらかといえばこれがメインでして、新品種利用料を稼ごうなどとは思っていません。財務省とのかかわりの中で、こうしたポーズをとらざるを得ないというのが正直なところでしょう。
よって、営利を目的としないものはもちろん、農家が自家採取した種芋でヤーコンを栽培して販売しても、種苗法違反は黙認されると考えています。
ただし、ヤーコン御殿が建つほどにヤーコンで大儲けした場合は別でしょうが。このような大儲けで、農家がお縄頂戴となるようなヤーコン大普及を夢見ています。
参考までに、品種登録されているヤーコンは次のものです。
アンデスの雪 表面のゴツゴツ感が少なく、芋のひび割れが少ない
肉質は白色で、甘味が少なく淡白な味
保存しておいてもオリゴ糖の分解は少なく、甘味は増さない
保存性は「アンデスの乙女」より良い
サラダオトメ 表面のゴツゴツ感が少なく、芋のひび割れが少ない
肉質は黄白色で、甘味が少なく淡白な味
保存しておいてもオリゴ糖の分解は少なく、甘味は増さない
サラダオカメ 表面がゴツゴツしていて外観が悪い
肉質はオレンジ色で、最初から甘味がけっこうある
でも、オリゴ糖の含有量は他の新品種と同程度ある
アンデスの乙女 表面のゴツゴツ感が少なく、芋のひび割れが少ない
肉質は黄白色で、甘味が少なく淡白な味
(「アンデスの雪」より若干甘味がある)
芋の表皮の色は、他の新品種とは違って赤紫色
(ただし、数日すると酸化して黒っぽくなります。)
保存しておいてもオリゴ糖の分解は少なく、甘味は増さない
保存性は「アンデスの雪」より悪い
(水分が抜けて、中身がレンコン様の巣が入るようになる)
この記事へのコメント