(2010年12月15日)
ヤーコン芋には、ほのかな甘みがあります。
その甘みは、基本的にはオリゴ糖に由来するものですが、収穫後、時間が経ったものは、より甘みが増すことがあります。これは、オリゴ糖が分解されて果糖や蔗糖(しょとう=砂糖)などに変換されることによります。
ここら辺りの実際を、廣済堂「奇跡の健康野菜ヤーコン」と、農文協の新特産シリーズ「ヤーコン」という本から、かいつまんで紹介しましょう。
ヤーコンにも様々な品種がありますが、オリゴ糖の含有量は、可食部100g中に、7~9g含まれ、これはオリゴ糖が一番多いとされていたゴボウの3倍にもなります。
なお、部位によってオリゴ糖の含有量が多少違うようで、外に多く、内に少ないようですが、測定データが少なく、今のところ大差ないと考えて良いでしょう。
ヤーコン芋には、こんなにもオリゴ糖が多いのですが、その甘みは蔗糖の約3割ですから、ほのかな甘みとしてしか感じられないのです。
もっとも、これは、まだ青々とした葉っぱを付けている晩秋に収穫した場合のことでして、霜が降り、葉枯れしてからの収穫となると、オリゴ糖の分解が始まり、オリゴ糖が蔗糖、果糖、ブドウ糖に分解されて、蔗糖や果糖の強い甘みによって、ヤーコン芋が甘みを増してくるのが、一般的です。
ある調査データでは、霜が降りる前のものに比べ、霜が降りた後では、オリゴ糖が2割程度減り、収穫後2ヶ月するとオリゴ糖がさらに4割程度減るとなっています。
だんだん甘みが増してくるようであれば、オリゴ糖の分解が進んできたと考えてよいでしょう。
腸内環境改善のためにヤーコン芋を食べたいという方は、オリゴ糖の含有量が多い、早めの収穫が良いでしょう。その目安として、私は、「花が咲いたら収穫時」と思っているのですが、新品種「アンデスの雪」は早咲きでして、一概に言えません。
ここは、ヤーコンをじっくり観察し、葉っぱの勢いが落ちてきて、そろそろ休眠に入ろうとしているなと感じられたら、これ以上の芋の生長はないはずで、早速収穫してあげましょう。かと言って、短期間に大量に食べられるものではありませんし、少しずつ、できれば通年食べたいものです。
そうなると、栽培品種を選ばねばなりません。
在来種(ペルーA群=芋のひび割れが多い、肉質は淡オレンジ色)の場合は、収穫後のオリゴ糖の分解が激しいようです。先に紹介したデータは在来種の場合です。甘みが強くなったら、オリゴ糖の分解が大きく進んでいると思ってください。
でも、オリゴ糖が完全になくなるものでもないでしょうし、フルーツヤーコンとして食べるには、甘みがあった方が美味しいですから、味を楽しむには良いでしょう。
その点、品種改良された新品種は、どれもオリゴ糖の分解が比較的緩やかであるとのことです。
新品種かどうか、芋の見分け方は次のとおりです。
サラダオトメ 肉質は黄白色 芋のひび割れが少ない
甘味が少なく淡白な味
アンデスの雪 肉質は白色 芋のひび割れが少ない
甘味が少なく淡白な味
サラダオカメ 肉質はオレンジ色 芋がゴツゴツしていて外観が悪い
甘味がけっこうある(でも、オリゴ糖は他の新品種と同程度)
アンデスの乙女 肉質は黄白色 表皮は赤紫色 芋のひび割れが少ない
甘味が少なく淡白な味
(注:アンデスの乙女は最新品種で2013年から苗を発売)
ところで、「オリゴ糖」とは何でしょう。
オリゴ糖は、現代人にとって“生活習慣病の救世主”となる優れものです。その詳細は、左サイドバーのカテゴリー「オリゴ糖の働き」をクリックしてご覧ください。
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