ヤーコンは、赤道直下アンデス高地の生まれです。年間を通じて暑くもなく、寒くもない気候の下で育ってきました。それが日本はどうでしょう。最高気温が35度を超える猛暑に曝されることが度々です。これでは当然にヤーコンがダメージを受けます。
そうしたことから、日本でのヤーコン栽培適地は、東北・北海道となり、関東以南では海抜500m以上の中山間地が適地となります。
当地、岐阜市近郊(濃尾平野の一番奥・海抜10m)では、名古屋よりも気温が上がり、毎年猛暑日は10日以上になり、年によっては20日、30日以上にもなります。(うちは岐阜気象台の東3kmの所にあり、気温は気象台と同じと思われます。)
これでは、ヤーコンはたまったものではありません。中山間地やそれに近い所で育てられた苗や種芋を購入して育てると、当地の猛暑に曝されて、初年度は枯れるものが多かったり、育ちが悪かったりして、収穫量もわずかなことが多いです。
でも、ヤーコンは成育するそれぞれの土地の気候を学習して順応し、2年、3年経つと枯れることもなく、成育も良くなり、収穫も増えます。そして、 雑草との共生で、どれだけかの直射日光をさえぎってくれますし、何よりも地温上昇を防いでくれ、猛暑対策はこれが一番だと思っています。
しかし、あまりの猛暑となると、ヤーコンの適応力にも限度があり、ダメージを受けて生育が止まり、収穫量も減ります。長年の栽培記録(同一場所での連作を2007年開始)から見てみますと、2018年までに3回猛暑被害を受けました。(その後も猛暑はありましたが、幾年か無肥料栽培としたため比較できません。)
1回目は2010年。猛暑日は33日、うち37℃以上が8日で、平年作の56%の収量となりました。この年は、8月中旬から9月上旬にかけて、雨らしい雨は24日間なく、畑がカラッカラに乾いて枯れそうになり、1週間ほど連日水やりをしました。(この年は雑草との共生なし)
2回目は2013年。猛暑日は24日、うち37℃以上が10日で、平年作の41%の収量となりました。この年は、8月に17日間雨らしい雨がなく、水やりせねばもう持たない状況のところでまとまった雨があり、水やりはしませんでしたが、日照りのダメージはあったことでしょう。(この年は雑草との共生なし)
3回目は2018年。猛暑日は34日、うち37℃以上が20日という前代未聞の猛暑いや炎暑となり、平年作の26%の収量となりました。日照りは続かず、枯れるようなことはなかったですが、雑草との共生を図ったものの、2回目の大雑把な草刈りを行なって直ぐに早々の梅雨明けを生ったものですから、その効果は半減といったところでした。
さて、夏の猛暑がヤーコンの収穫量にどう影響するか、2010年以降の気温を調べ、収穫量と比較してみました。(ヤーコンは、専用の畑、約100㎡(7畝)で連作、その後縮小したので、7畝換算で比較)
旬ごとの最高 旬の中での 猛暑日の 収穫量
気温の平均 最高気温 日数 153kg
2010年 (うち37度超) (猛暑ダメージ大)
7月 上旬 30.8 34.5 - 平年作の56%
中旬 30.4 35.7 1
下旬 35.6 37.6 9(5)
8月 上旬 33.0 36.3 2
中旬 33.5 37.0 3(1)
下旬 35.8 37.1 11(1)
9月 上旬 34.9 37.7 6(1)
中旬 31.0 35.8 1
計33日(計8日)
2011年 収穫量
7月 上旬 32.6 35.3 2 242kg
中旬 33.3 35.6 2 平年作の89%
下旬 30.9 33.3 -
8月 上旬 33.6 37.2 4(1)
中旬 34.5 37.7 4(1)
下旬 31.8 34.9 ー
計12日(計2日)
2012年 収穫量
7月 上旬 28.9 32.7 ー 259kg
中旬 32.2 36.7 2 平年作の95%
下旬 32.2 37.1 5(2)
8月 上旬 34.6 36.6 4
中旬 33.1 36.0 1
下旬 33.5 34.5 ー
計12日(計2日)
2013年 収穫量
7月 上旬 31.6 37.1 3(1) 113kg
中旬 33.4 37.5 2(1) (猛暑ダメージ大)
下旬 33.2 36.3 3 平年作の41%
8月 上旬 35.0 38.4 4(2)
中旬 36.6 38.1 10(4)
下旬 32.5 38.1 2(2)
計24日(計10日)
2014年
7月 上旬 29.3 33.4 ー 収穫量
中旬 32.2 34.5 ー 203kg
下旬 34.7 38.2 4(2) (肥料が悪かった)
8月 上旬 31.4 36.5 3 平年作の74%
中旬 32.0 35.7 1
下旬 30.6 34.7 -
計8日(計2日)
2015年
7月 上旬 26・9 30.7 ー 収穫量
中旬 32.2 35.1 2 328kg
下旬 33.5 37.4 4(1) 雑草との共生が
8月 上旬 37.0 38.7 9(6) 功を奏し大収穫
中旬 32.7 36.2 1 平年作の120%
下旬 30.2 34.1 -
計16日(計7日)
2016年
7月 上旬 32.0 35.7 1 収穫量
中旬 31.8 35.1 1 303kg(7畝換算)
下旬 31.4 35.8 1 雑草との共生が
8月 上旬 35.8 38.5 8(1) 功を奏し大収穫
中旬 34.5 36.5 4 平年作の111%
下旬 32.7 37.4 3(1)
計18日(計2日)
2017年
7月 上旬 32.2 35.5 1 収穫量
中旬 33.3 35.5 1 178kg(7畝換算)
下旬 32.1 35.6 1 豊作になっていい
8月 上旬 33.5 35.3 2 はずが、原因不明で
中旬 31.8 34.1 0 思わぬ不作。
下旬 33.4 36.5 1 夏の天候不順?
計6日(計0日) 平年作の65%
2018年
7月 上旬 30.2 33.8 0 収穫量
中旬 36.9 39.6 9(6) 71kg(7畝換算)
下旬 36.0 39.1 7(4) 平年作の26%
8月 上旬 37.9 39.3 9(9) とんでもない猛暑で
中旬 33.0 37.7 4(1) チョウ不作
下旬 34.6 36.8 5
計34日(計20日)
2019年
7月 上旬 29.3 30.8 0 収穫量
中旬 28.4 31.8 0 139kg(7畝換算)
下旬 33.2 37.3 4(1) 平年作の51%
8月 上旬 37.1 38.5 10(5) さほどの猛暑でもなく
中旬 35.2 37.9 6(1) 無肥料栽培の影響か
下旬 30.8 33.9 0
9月上旬 33.7 37.4 3(1)
中旬 31.8 35.0 1
計24日(計8日)
2020年
7月 上旬 27.8 30.4 0 収穫量
中旬 29.5 35.5 0 148kg(7畝換算)
下旬 30.7 35.0 1 平年作の54%
8月 上旬 34.7 36.9 4 さほどの猛暑でもなく
中旬 37.2 39.2 9(7) 無肥料栽培の影響か
下旬 36.0 38.1 8(3)
9月上旬 32.2 35.7 1
計23日(計10日)
2021年
7月 上旬 28.7 33.2 0 収穫量
中旬 33.2 35.5 1 141kg(7畝換算)
下旬 34.9 37.2 4(1) 平年作の52%
8月 上旬 34.7 39.0 5(1) 猛暑日が少なかったが
中旬 28.2 32.5 0 種芋を大きな塊にした
下旬 33.5 36.4 5 その影響が不作の原因
計15日(計2日)
2022年
7月 上旬 31.5 38.4 3(1) 収穫量
中旬 30.6 33.8 0 88kg(7畝換算)
下旬 34.3 36.8 6 平年作の32%
8月 上旬 34.4 37.9 4(3) 施肥栽培(減肥料)で
中旬 32.6 36.4 0 猛暑日が少なかったが
下旬 32.1 34.2 0 原因不明の大幅な不作
計13日(計4日)
2023年
7月 上旬 32.2 35.4 1 収穫量
中旬 33.7 33.8 0 46kg(7畝換算)
下旬 36.4 36.8 8(5) 平年作の16%
8月 上旬 35.7 37.2 7(1) 施肥(減肥料)するも
中旬 35.3 38.7 6(3) 猛暑日が長期間続いた
下旬 33.7 36.6 3 ために大幅な不作
9月上旬 33.4 36.0 2
中旬 32.8 35.7 1
計28日(計9日)
2024年
7月 上旬 33.5 37.7 3(1) 収穫量
中旬 31.6 35.8 2(0) kg(7畝換算)
下旬 36.1 38.1 8(3) 平年作の %
8月 上旬 37.4 38.3 10(5)
中旬 37.0 39.0 8(7)
下旬 32.9 36.8 4
9月上旬 34.0 35.5 2
中旬 35.2 36.9 6
計43日(計16日)
この記事へのコメント
マルキチ
ヤーコンおやじさんも、お体ご自愛なさってください。
どろんこ
今年の猛暑、先が思いやられます。
うちの畑のヤーコンは、今のところ耐えてくれていますが、心配になってきます。
幸い雨のほうは昨日夕立があり、しっかりしみ込んでくれました。
水やりご苦労様ですが、頑張ってください。